特集:私の大好きな〈西川町〉「taro農場」

/ 更新日 / 2025.11.16

山形市と近隣の寒河江市、上山市、村山市、天童市、東根市、尾花沢市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町を合わせた7市7町はひとつの大きなエリア「山形連携中枢都市圏」として互いに協調しながら、よりよい地域づくりを進めています。

ここでは、その山形連携中枢都市圏を形成するエリアで活動をされている方たちから、各々のまちにあるお店や場所、ひと、名物などなど大好きな「なにか」を、それぞれの視点でご紹介いただきます。

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「taro農場」

報告者:伊東絵里子(西川町 観光課 地域おこし協力隊)

西川町の中心部から山間の集落へ車で走ること数分。細谷信太郎さんの「taro農場」に到着した。面積はそれほど大きくはないが、畑の中には栗の木が数本あり、多種多様な野菜が育てられている。
taro農場では農薬、化学肥料、堆肥を使わず、山の地表を伝ってくるミネラルたっぷりのお水と、落ち葉などの自然の力だけで育てている。taro農場で育ったお野菜を何種類か口にしたことがあるが、どれも甘みがあり味が濃く養分をたくさん含んでいるように感じる。収穫した野菜には土がついているが、細谷さんはそれを全て手で丁寧に洗っている。機械を使うと野菜が傷ついてしまうからだそうだ。非常に大変な作業だが、一つ一つの野菜を大切にしているのがよくわかる。

畑の中を案内してもらうと、不思議な光景を目にする。taro農場では野菜と雑草が共存している。一般的な常識では野菜の傍に生えている雑草は、野菜の成長を妨げてしまうため抜かなければいけないと思うのだが、ここtaro農場の野菜は雑草と共に元気に育っている。雑草を抜かない理由を細谷さんに聞いてみると「雑草を悪と考えていない」という答えが返ってきた。土に養分が多いと栄養の取り合いをせず、共存していくことができるのかもしれない。その様子を見るだけでなぜか微笑ましく思えるから不思議だ。

ここに来ると時間の流れが非常にゆるやかで、日々の忙しさを忘れてしまう。来るたびに畑の表情が変わり、珍しい虫たちの姿を見ることができ、風と共に流れてくる土や草の匂いからも季節の移ろいを肌で感じることができ、心が休まる。

細谷さんの話を聞いていると、もちろん楽しいことばかりではなく、吹雪の中でも作業しなければいけないこともあったり、自然相手ならではの厳しさもあるのだけれど、ここで過ごしていると「本当の豊かさは何か」と考えさせられる。

taro農場にはお手製のベンチとテーブルがある。来訪者をいつも温かく迎えてくれる細谷さんとテーブルを囲みながら、それぞれに楽しい時間を過ごすんだろうなと想像するだけで、なんだか嬉しくなってしまう。

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