特集:私の大好きな〈天童市〉「上貫津の里山」

/ 更新日 / 2025.10.06

山形市と近隣の寒河江市、上山市、村山市、天童市、東根市、尾花沢市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町を合わせた7市7町はひとつの大きなエリア「山形連携中枢都市圏」として互いに協調しながら、よりよい地域づくりを進めています。

ここでは、その山形連携中枢都市圏を形成するエリアで活動をされている方たちから、各々のまちにあるお店や場所、ひと、名物などなど大好きな「なにか」を、それぞれの視点でご紹介いただきます。

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「上貫津の里山」

報告者:濵田 拓実(天童市 農林課 集落支援員)

果樹生産が盛んな天童市では、出荷量日本一のラ・フランスをはじめ、サクランボやリンゴの木を街のいたるところで見かけます。自然を身近に感じられる環境の中でも、特に東部のエリアは自然あふれる豊かな地域。そこには、良質な土壌、澄んだ湧水、多種多様な生き物達など、自然の恵みを享受しながら生活する里山の景観が広がっています。

里山とは、簡単に言えば人が自然を程よく手入れしてできた地域のことです。天童市の東部に位置する上貫津地区では、この里山の景観が奥羽山脈の裾野に沿うように広がっています。

ここでは、人里側を果樹園地として使い、山側の下草を刈り払って山菜取りに利用しています。こうした人と自然の営みのグラデーションが、唯一無二の景観を生み出すのです。

そんな中で私が一番好きなのが、雪どけから梅雨の時期にしか現れない小川の風景です。上貫津の山には水が湧き出る場所が所々にあり、普段は水が滲み出すか枯れている程度の量ですが、水の多い時期になると、そこから水が滾々と溢れ出るようになります。普段何もない場所に川が現れ、果樹園にまで流れ込む様は、たとえ人が切り拓いた土地であっても自然とは一続きなのだと実感させられます。

他にも、生命力あふれる春の新芽と花々、季節の恵み、動物のかすかな痕跡、積雪期のシン…とした静寂など、街にはないものがここには沢山あります。絶景とは言えないかもしれませんが、自然と人の素朴な有様を覗かせてくれる場所なのです。

関東から移住してきた私でも、天童市の環境にはすぐ慣れることができました。住みよさがありながら、「里山」という自然と触れ合える。私にとってはこれ以上ないほどの移住となったと、今でも感じています。