移住を、具体的に考えてみる。

/ 更新日 / 2021.10.02

ひとくちに「移住」といってもいろんなスタイルがあります。まったく見知らぬ土地にある日突然暮らしはじめるやりかたもあるでしょうし、休暇があるたびに訪れるお気に入りの土地にゆっくり時間をかけて移行していくやり方もあるでしょう。しかしどんなにさまざまなスタイルがあるにせよ、「いままで暮らしていた土地から離れた場所で新しい暮らしをはじめる」という点は共通、といえるのかもしれません。

新しい、ということは、まだ確定していない要素がいっぱいあるということです。仕事が見つかっていない、住まいが決まっていない、通うべき保育園や学校がわからない、日々を過ごすのにどれだけお金がかかるのか想像がつかない、、、というように。そして、その新しさゆえに生じる不確定要素の多さが、そのまま不安要素になっていきます。だから、移住を検討する人には不安があります。でも、それはあたりまえです。移住前の人たちはたいていみんな不安です。

私はこれまで、移住したひとたちにインタビューをし、たくさんの物語をお聞きしてきました。そうした話を聞いてみての全体的な感想は、「移住して新しい暮らしを楽しんでいる人というのは、みんなすごく具体的なんだなあ」ということです。もちろんそれはあたりまえのことなんですけどね。

移住者は最初は「新しさ」という環境のなかで不確定部分の多さに不安を抱いて悩んだりするものですけど、移住しちゃったあとになってみれば、みんな仕事も住まいも暮らし方も具体的に選び取ってしまっているから、不確定部分が具体的になったことによってすこし安定しているんです。夢も、稼ぐ手立ても、住まいも、ひとりひとりぜんぜんちがうけれども、具体性が伴ってしまえばあとはバランスをとりはじめるのだ、ということは同じなんです。

ですから、移住というのは新しい土地で具体的に決めていく作業である、と言えると思うんです。たとえばどこかの土地に暮らすことを想定したとき、じぶんはそこでどんな仕事をするんだろうか、とか。そこにある会社に勤めるんだろうか。それなら、その土地に拠点をもつ会社のことを知っておく必要があるな、とか。いや、いまじぶんが勤めている会社でリモートワークしながら新しいその土地に移るのって可能なんだろうか、と考えてみるとか。わかんないから、会社に相談してみよう、とか。

移住を考えると、いろいろモヤモヤするかもしれませんが、できるかぎり疑問や想像を具体的にしてみる。そういう姿勢が大事なのかもしれません。

real local Yamagata ライター 那須ミノル
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